夏の行事

八十八夜は立春から八十八日目、この頃になると霜の心配がなくなり農作業が本格化します。五月節句には菖蒲湯に入り、子供達は菖蒲打ちをやりました。「むけ日」は物忌の日で、「歯がため餅」や「耳あけ」の行事がありました。七月七日の七夕の前夜は、子供達が川べりに七夕小屋を作り夜を明かしました。「ネブタ流し」などに祓いの風習があったと思われます。七夕から盆行事がはじまります。「盆箸とり」「墓掃除」「お盆買い物」などです。正月の「オサイド」と盆の「送り火」は、同じ祖霊(御霊)送りという一面を持っています。七日から二十日盆までが盆の期間でした。「二十日正月」と共通しています。現在、盆行事は月遅れの八月に行われています。

《五月》 二日:八十八夜


前夜は八十八夜の別れ霜といわれ、たいていの農作物の種子を蒔いても心配ないとされてきた。若勢が八十八夜より住み込み働く。
この前後、苗代作りが盛んになる。正月のオミダマ飯を炒って食べる。

 

四日:宵節句


よもぎ・しょうぶを家の軒先にさす。笹巻を作り、しょうぶ湯に入ってアサヅキで一杯やる。笹巻はモチ米を新しい笹二枚で三角に包んで紐で結び、五〜六個ずつ一繋ぎにしてゆでる。食べ終わった笹は、蛇とかムカデが入らないように柱に貼っておく。また味噌に入れておくと味噌が変わらないという。
 

五日:しょうぶの節句(五月節句・男の節句)


鯉のぼりを立て、男の立身出世を祈願する。女はしょうぶで髪を結う。代掻きはしない。「しょうぶ休みのない年は六月一日も蚕で休まれぬ」という。
 
 鬼来ね様に 軒さ菖蒲挿した
 出世する様に 菖蒲湯さはえって(入って)
 笹巻も食った

 

二十七〜二十八日:曾我の雨


曾我兄弟が仇討ちをした日とされる陰暦五月二八日に降る雨。
 

田植えの終わった日:大田植え


田植えが終わった日、田植えの手伝い人も招いて大振舞いをする。大田植えの行事は家々で一緒にならないよう調整して、相互に招きあった。
月山沢の場合、この日2mほどもある朴(えのき)の木を切ってきて座敷に立て、これに米を包んだもの、朴の葉に豆と米とあられを包んだもの(これをオオダウエの豆炒という)、朴の葉にニシンを包んだもの、20〜30cmほどの長いカヤの箸一膳を下げる。また、オオダウエの餅をつく。手伝い人及び家族の膳には、オオダウエの豆炒二包みと長いカヤの箸がつけられる。招かれた人々はこの長い箸で餅を一口食べた後、箸を二つに折って腰にさす。こうすると腰痛がしないという。砂子関では、この長いカヤの箸を腰の周りで三回まわすと腰痛がしないといっている。
小砂子関ではハヤイネカリと呼び、箕(み)の上にあげたオオダウエの豆を田の神に供える。砂子関では、その家の主人(あるいは鍬頭)が腰に鎌をつけ、オオダウエの稲刈りとか早生刈りといって、座敷に立てた朴の木のオオダウエの豆炒を鎌で刈り取り、箕の上にその包みをあけ、豆や米をみんなで食べる。座敷に飾った朴の木は、翌日田に立てる。月山沢では、この朴の木を伝って田の神が天に登っていくと考えられている。小砂子関ではこの朴の木を田の水口に立てるが、これは虫除けになるという。砂子関では、「オオダウエの夜はその家の主人(または鍬頭)は、苗枯れするから風呂に入らない」という。

 

《六月》 一日:むけ日


この頃、人も蛇や蚕と同じく皮が剥けるという。
正月の凍み餅を干していたのを、「歯がため」といって、歯が丈夫になるように噛んで食べる。「歯がため餅の良く凍みた年は上作」「歯がため餅をかんで手足に塗ると蛇に噛まれぬ」とのいわれがある。また、良く皮が剥ける(夏負けしない)ようにと、山芋・トロロ芋を食べる。残ったトロロは入り口にまく。

 

一日:耳あけ


良いことが聞こえるようにシオデの芯で耳の穴をつつく。
 

十日:御田の神

《七月》 七日:七夕


昔は六日の夜、年長の子供の家に地域の子供達が集まり、ジャガイモなどを煮て食べたという。七夕の飾り物は、七日の朝川に流す。
海味では、流し終わると自分の年齢の数の大豆の葉で顔を洗った。

 

七日:湯殿山詣り


一日から精進して七日にお山詣りをする。
 

七日:ネブタ流し


早朝に子供達は「ネブタ流れろ、豆の葉っぱとまれ」と唱えて水浴びをする。
 

七日:盆箸とり


柳の枝を切り皮をむいて干す。お盆の内、仏さまの供物へ添える箸。人々が餅を食べる箸。
 

七日:墓掃除(らんば洗い)


午前中に先祖の墓を掃除する。
 

七日:お盆買物

一三日:墓詣り


夕方より家内中揃って着飾り、提灯、供え物、盆花(ミソハギ)をもって先祖の墓参りをする。ハスの葉に供物をのせ、仏前に供える。
 

一三〜十四日:餅つき

十六日:だいさいにち


地獄の釜のふたも開く日。休日
 

十六日:送り火


夕方、南瓜の葉に供物をあげ、墓地に詣る。また墓地に遠い場合は家の門近くで火を焚いて仏を送る。「秋の彼岸またござれ」と唱える。
 

二十日:二十日盆


休日
 

土用:うしの日


土用餅を食べると暑気よけになるという。
薬草摘み 朝露のあるうちにどくだみなどを取ってきて陰干しする。

 
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