春の行事

節分は立春の前日です。「病送り」の二月八日は「コト八日」の日でもあります。悪疫を追い出しいよいよ農作業にとりかかります。「高い山」は白鷹山(虚空蔵山)が特に有名ですが、高い山は各地域の小高い山で行い、老若男女が酒・料理を持ち寄り一日を楽しみました。陽暦五月、一年中で最も良い季節です。

《二月》 一日:年ゆえ(祝)正月


厄年・年祝の日。親類を招き酒宴をする。「この日は暦を見なくとも良いほどの吉日」という。
 

三日:節分


かやにヒコイワシ(干子魚)・昆布をはさみ四方の戸口にさす。
炒り豆と穴あき銭を桝に入れ、主人がアキの方(恵方)を向いて「福は内 福は内 鬼は外 天うず(打ち)地うず四方うず鬼の目(ん)玉ぶっつぶせェー!」と唱えながら豆をまく。沼山では、豆は黒くなるまで炒る。蒔いても芽(鬼)がでないようにとの意味がある。節分の豆を山仕事に行く時持っていくと、毒蛇にかまれたり虫にさされたりしないという。

 

八日:作だめし


十二個の炒り豆を炉火で焼いて、その焼け具合を見て各月の天気を占い、作だめしを予想する。
 

八日:ヤンマイオクリ(病送り)


半紙に諸病おくり、やまいおくりと書き木の小枝につけ、赤いなんばんや一文銭を括り付け、村境まで行き疫病神を追い払った。この日には朝、疫病神が嫌うトロロ・ネギ・ニンニクを食べる。
大井沢では、大ワラ人形(男形一体)を奇形に作り、棒にさして見附から川下へと送り、各戸がアク(灰)の包み、トロロ汁、ナンバンや一文銭を付けて黒渕の川端に立てておく。

 

十二日:山の神祭り


小砂子関や梅沢ではこの日から山の神が田の神になると考えられている。
 

十五日:オッシャ神様(おしら神様)


養蚕をする家の近所の婦人達が集まり(まわり宿)、庭に長く枝をはらった杉の生木を立て(オッシャ神様の休み木)梵天として礼拝し甘酒をくみ合う。この木をハシェボゲ(稲架木)に使う。
砂子関では前日にオッシャホーケ(細木)を三本立てる。これを伝わってオッシャ神が天から降りてくるのだという。

 

十七日:山の神(木泣かせ)


この日は山の神が木にのりうつる(山の木を数える)日である。若衆が山の神様詣りをして山の仕事の安全を祈る。山仕事を休み、湯に入り餅をついた。
月岡では村中集まって縄をないモッコ(村普請で使う)を作った。

 

最初の午の日:初午


繭形のだんごを作る。この日一日お茶を飲まない。自分の家の蚕が茶の色のような渋い繭を作らないようにとの願いからである。「二月の初午が早いと、火が早い」ともいわれ、お互い注意しあった。
 

《三月》 二日:宵節句


雛人形の飾り付けをする。三月一日からでもよい。
 

三日:雛節句(女の節句)


初節句 初節句の女の子へ、里の母親より人形や着物を贈る。
御雛様見 子供達がお雛様を見に各戸を廻る。炒り豆・あられ餅等をもらう。
この日に働くと「道楽者の節句働き」といわれた。また、機織りをしてはいけない日とされた。

 

二十三日:お彼岸


彼岸入りに仏様に乾燥あけびを供える。仏はあけびの皮を舟にして乗ってくるという。
お彼岸にオナカマの所にいき、先祖の仏(霊)おろしをして故人と話し合い、家内の吉凶注意事項をおしえてもらった。

 

二十四日:地蔵祭り


婦人による地蔵祭り(講)がある。
 

《四月》 一日:お八日のぼり


七日まで山先達は大日寺におこもり精進する。
 

七日:湯殿山のご縁日


七日にお山に登り、お山の雪の具合を見て作見(作占い)をする。
 

八日:花まつり


甘茶を飲む。(釈迦の誕生を祝い、甘茶で灌仏会をする。釈迦の団子をもらう。)
 

八日:霜祭り(霜送り)


氏神に詣で豊年を祈念する。
 

十七日:高い山


近くの小高い山に酒と重箱料理を持って登り、一年の開運を祈る。
月山沢では山の神を祭る行事と考えられている。

 たかい山
  「運開き 高い山」 旧四月十七日
   山はつつじの 花いっぱい
   眺めもええ(良)いす ほけちょ(鶯)も鳴ぐす
   ここらあたりで 運開くべ

重箱には、凍み大根、うど、干し鰊、凍み豆腐、酒とサイダー等持参

 
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