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 ワーグナー:管弦楽曲集
カテゴリ: おすすめレビュー  地域: どこか  (登録日: 2005/10/04  更新日: 2025/10/19)
 
| 1995
 ソニーミュージックエンタテインメント
 ワーグナー, ピエール・ブーレーズ, ニューヨークpo.
 
 この「おすすめレビュー」は、mixiの「おすすめレビュー」に投稿したものです。
 
 |  おすすめレビュー
| ブーレーズ/ニューヨーク・フィルのこのCD、一般的には取り立てて誉めるものは何もないように見える日陰の存在。ちょっと地味すぎて、価値を持ち上げたくなってきました。
 
 ワーグナーが絶対音楽を書いたと言ったら大笑いされそうな話。ところが、ブーレーズの指揮でワーグナーを聞くと、絶対音楽としての音楽の構造が露にされてきます。「マイスタージンガー」。これは紛れもなく、対位法の傑作です。しかもハ長調ですよ。ドミソのあの音階で進行する平易な調性の上に、まるでゴシック建築のようなポリフォニックな音楽が構築された…。対位法のアーキテクチャーです。どの指揮者のワーグナーを聞いても、そう聞こえることはなかった。この構造観を見せ付けてくれたのがブーレーズの「マイスタージンガー」。それぐらい、このCDはインパクトがありました。
 
 もう一つ挙げると「ジークフリート牧歌」。これも絶対音楽。一体誰がこれを牧歌的に演奏しなさい、と指示したのでしょう。これは一つ一つのパートの旋律が自律的に進行しつつ、対位法的に戯れる絶対音楽です。これを感じたのも、やはりブーレーズのこの演奏。
 
 ニューヨーク時代のブーレーズは、レコーディングで知るのみですが、ニューヨークでいい仕事したんではないでしょうか。
 
 満足度★★★★★
 
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