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2-2. データベース活用による文化振興の具体策(3)

報告書目次: 第2章 地域文化情報のあり方に対する検討
(2002/04/11 更新日: 2019/06/17)



(5) 全文データベース検索


 インターネットでYahoo!などの検索サービスが普及するにつれ、データベース検索には任意のフリーワードで手軽に検索できる全文検索システムが広く採用されるようになった。
 また、検索した結果は、Webページに編集された見やすい形で検索結果を表示できると初心者にも馴染みやすい。
 山形県地域文化データベースにおいても、同様の方式の検索が行えることが望ましい。全文検索システムの概念を図10に示す。


図10 全文検索システム


(6) 素材ファイル検索


 素材ファイル検索システムは、データベースに登録された素材データを対象に任意のキーワードで検索するシステムである。Webページの検索を行う全文検索システムと違い、地域文化研究に役立つデータをパソコンに蓄積したり、新たに制作するホームページに素材データを再利用することを目的とする検索システムである。素材ファイル検索システムでは、検索した素材データをサーバからパソコンに一括してダウンロードする機能を併せ持つことにより、その実用性が向上する。素材ファイル検索システムの概念を図11に示す。


図11 素材ファイル検索システム


(7) データベース公開環境の段階的拡張


 地域文化データベースを「絵に描いた餅」に終わらせることのないよう、実際に稼働するデータベースサーバを設け、この運用環境を整えて県民に開放することが求められる。
 サーバ環境は、先にも触れた通り、市町村や民間プロバイダ等のネットワーク環境に分散的に構築されることが望ましいが、第一段階の施策としては、何ができるのかを広く理解してもらうため、また本格運用に向けたシステムの改善を行うため、モデルケースとして稼働するサーバ環境を提供することが現実的である。
 将来的には、山形県において構築が計画されている地域情報ハイウェイ(ブロードバンドネットワーク)に個々のデータベースサーバが接続される環境で、徐々にその環境の拡大が図られるよう、次段階へ向けての施策を具体化することが望まれる。
 データベース公開環境の段階的拡張のイメージを図12に示す。


図12 データベース公開環境の段階的拡張


(8) 地域文化データベースの運用環境


 地域文化活動の振興、地域内の情報化促進を目的とし、インターネット環境を利用した県民開放型のサービスは前例がない。地域文化データベースをモデルケースとして公開する場合の運用環境についても、以下のいくつかの基本的な問題がある。
●ネットワークの運営主体を誰にするか
●サービスの運営主体を誰にするか
●県民開放の実現手段としてのユーザIDの付与をどうするか
●運用コストをどう解決するか

 以上の点に関し、地域文化データベース運用のために民間のホスティングサービスを利用して専用のデータベースサーバを運用する場合、専用のサーバは設けずに民間プロバイダのレンタルサーバを利用する場合、山形県(もしくは東北芸術工科大学)のネットワークを用いて専用のデータベースサーバを運用する場合の3ケースについて比較検討を行った。その比較内容を表1、表2に示す。


表1 サーバの運用に関する比較



表2 可能なサービスの比較


 以上から総合的に判断すると、ホスティングサービスを利用して独自のサーバを公開する運用が最も適している。
モデルケースとしての第一段階の公開では、研究開発を継続する必要性、技術支援の必要性から本事業の研究を受託した東北芸術工科大学の運用ボランティアグループがネットワークの運営主体となることは現実的な選択肢である。
 将来的には、こうした取り組みが地域で自発的に展開していけるようにこれを支援する体制として市町村、文化施設、団体サークル、個人有志などから成る協議会を作り、推進を図っていくことが望まれる。
(執筆者: 前川道博)
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