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東京オペラシティで武満徹を聴く 2016/10/13

カテゴリ: コンサート 地域: 東京都
(登録日: 2016/10/14 更新日: 2024/04/02)


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記録日: 2016/10/13 東京

このコンサート


★没後20年 武満徹 オーケストラ・コンサート
https://www.operacity.jp/concert/calendar/detail.php?id=7370

日時:2016年10月13日[木]19:00
会場:東京オペラシティ コンサートホール

[出演]
指揮:オリヴァー・ナッセン
ソプラノ:クレア・ブース
ピアノ:高橋悠治
ピアノ:ジュリア・スー
東京フィルハーモニー交響楽団

[曲目]
武満 徹:地平線のドーリア(1966) 
環礁 ─ ソプラノとオーケストラのための(1962)
テクスチュアズ ─ ピアノとオーケストラのための(1964)
グリーン(1967)
夢の引用 ─ Say sea, take me! ─ 2台ピアノとオーケストラのための(1991)
 

コンサート雑感


作曲家の武満徹さんが逝去されてから20年。昨日10/13、東京オペラシティで逝去20周年を記念したコンサートがあり、授業が終わったその足で東京まで聴きに出かけました。新幹線が停まる都市に暮らしているとこういうこともできるとややそのありがたみを感じました。

★東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル
http://www.operacity.jp/concert/facilities/ch/

コンサートホールは贅を尽くしたもので、国立ならではの立派さ。内装は全体が木で作られ覆われています。ハレの感興があって実にいい。ウィーンのムジークフェラインザールに似た矩形をしています。武満徹にちなんでタケミツメモリアルとネーミングされています。100年、200年と長く使う公共の文化施設は立派でなければ、後世のニーズには応え続けることはできないと思います。今年50周年を迎える国立劇場も今となっては、貧相な印象は拭えず、陳腐化した面は否めません。その時代において最高のものを作り、後世に残すというのが文化行政ではないかということをこのホールで改めて感じました。

ところで武満徹さんの音楽については、機会を改めて語りたいことがあります。逝去されてからもう20年も経つのかという思いがあります。同時代、新作の初演に接した機会は何度かあり、テレビでも時折り出演しているお姿を拝見したことがあります。

いくら新幹線で日帰りできるとは言え、コンサートが終わったのは21:00頃。自宅に戻ると深夜0時になっていました。新幹線で便利になったと喜んでいいとは思いがたい。さすがに疲れました。
 
おらほねっと/ミッチーブログ
東京オペラシティで武満徹を聴く
https://sns.orahonet.jp/blog/blog.php?key=15991

曲ごとの雑感


昨日10/13の「武満徹コンサート」は武満さんの作品の中でも比較的演奏回数の少ない方の作品が採り上げられていました。その点でも聴き甲斐がありました。

★地平線のドーリア 1966
ちょうど今から50年前の作品。小編成のオーケストラ。か細く静かな演奏ながら、トーンクラスターのような音塊に特色のある作品。雅楽かもしれないと思うところあり。もしかすると雅楽とトーンクラスターは近いのかもしれないと思いました。途中、細く長く尾を引く絹糸のような音のひきずりがあったり、音楽の表現が繊細。とても印象に残る演奏でした。

★環礁――ソプラノとオーケストラのための 1962
1962年の作品ということでつい聴き入ってしまいました。武満さんの代表曲「弦楽のためのレクイエム」は1957年の作曲。その後、「ノベンバー・ステップス」あたりまでの作品はあまり多く聴いたことがありません。大岡信の歌詞がソプラノで歌われるのですが、クレア・ブースというソプラノ歌手の歌の巧さに感心しました。日本語を歌っているはずなのですが、言葉の意味を失っているというよりも、それが日本語であることが全く違和感にならないほど意味を問わない。ウェーベルンかブーレーズの声楽を聴くのと変わらない印象。

ウェーベルンの「5つの楽章」のような曲に近い印象を受けます。大編成のオーケストラで、これもトーンクラスター状の音の塊感があり、強弱がはっきりし、形式感が感じられます。あまり武満さんの曲のような印象がしない面があります。面白い曲でした。

★テクスチュアズ――ピアノとオーケストラのための 1964
この曲も大編成のオーケストラ曲。やはりトーンクラスター。ペンデレツキの影響が大きかったのか、この時代の流行りだったのだろうと合ッ点しました。音の塊感はときどき私が霞ヶ浦の波を見て感じる「水のマッシーブ感」に似たマッシーブの寄せる感じがあります。割といい曲。

ピアノはピーター・ゼルキンに代わり高橋悠治。ゼルキンより高橋悠治で聴けてよかった! それにしても高橋さんが歳を召しました。もともと小柄な方ですが、白髪になり、老人の佇まいです。後で年齢を確認したところ78歳。うーん、高橋さんが歳を取ると同時に私も年をとったことを感じました。

★グリーン 1967
今回の演奏曲目は大編成のオーケストラ曲が多く、曲の間の準備に時間がかかること。「グリーン」が始まるまで10分は待ったという印象です。曲自体は7分ぐらい。割とオーソドックスなオーケストラ曲という印象でした。「カトレーン」や「鳥は星形の庭に降りる」などでお馴染みのタケミツサウンドに近いものが出てきつつあるという印象です。

★夢の引用――2台ピアノとオーケストラのための 1991
今回のプログラムの中では唯一晩年に位置する作品。ピアノがステージ中央に2台並び、再び高橋悠治さん登場。もうお一人はジュリア・スーという台湾出身の女性のピアニスト。

2台のピアノが競演しながら、ラベック姉妹を思わせるような華やかな要素は何一つなく、2台の競演どころか極めて地味な、両者の違いも微妙にしか感じにくいほどのものでした。演奏時間は15分ほどあり、この日のプログラムではやや長目の曲。印象的な曲でした。

この日のオーケストラは東フィル、指揮はオリヴァー・ナッセンという方。作曲家でもあるらしい。私は聴くのは初めてです。巨漢の方で杖を突いてステージに出てきて指揮席に座って指揮をしていました。その巨漢ぶりには正直びっくりでした。

ふだんあまり聴く機会のない作品に接して新鮮な感動がありました。有名な代表曲がなくてよかった! また機会さえあれば武満徹さんの曲は何回でも聴きに行きたいものです。
 
おらほねっと/ミッチーのブログ
武満徹没後20年コンサートを聴く、曲ごとの雑感
https://sns.orahonet.jp/blog/blog.php?key=15992

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