[ 地域(どこか)へ戻る | ←← | →→ ] [ カテゴリ(おすすめ) | 地域(どこか) | 登録日(2007/05) ]
旅と音楽、旅と音のトップ

Boulez Conducts Webern

カテゴリ: おすすめレビュー 地域: どこか
(登録日: 2007/05/27 更新日: 2024/04/02)


1995
Deutsche Grammophon
Anton Webern, Pierre Boulez, Ensemble InterContemporain, Pierre-Laurent Aimard, Christiane Oelze, Francoise Pollet

この「おすすめレビュー」は、mixiの「おすすめレビュー」(CDクラシック)に投稿したものです。
 

おすすめレビュー


久しぶりにヴェーベルンを聴きました。車で聞き流していたのですが、あまりにも音がデリケート過ぎて聴いた気がせず、家でちゃんと聴き直してみました。やはりヘッドホンで聴いてみて(しかもボリュームを相当に高くして)一番下の音が拾い出せます。この下の音、そして最小音の存在を確認して、まさにこのダイナミックレンジがヴェーベルンの音空間かと実感しました。

レコードがステレオ録音の時代になってマーラーやブルックナーの人気が高まりました。ヴェーベルンがまともに聞かれるようになるにはデジタル録音を待たなければならなかった、というのは決して誇大な表現ではありません。

ヴェーベルンの音楽に殆ど初めて触れたのはブーレーズの『ウェーベルン全集』(以下『全集』)です。実際のところ、あまり感動して聴けるものではありませんでした。針音が演奏の音と同じぐらいの大きさで伴っており、ボリュームを上げると針音まで増幅されました(笑)。大好きなOp.10の第1曲など、演奏の音そのものよりシャリシャリシャリ…。思い返してみれば、ヴェーベルンは20世紀の音楽ながら、シャリシャリ音もまた20世紀のノスタルジアだなあ、と納得。『全集』は20世紀の音の玉手箱かもしれません。全く余談でした。

さて、ブーレーズが再びヴェーベルンの録音に挑戦しているのがこのシリーズ。『全集』の時より演奏者がぐんとレベルアップし、さらに重要なこととしては録音技術が格段に向上し、私たちはやっとヴェーベルンの音楽をまともに聴くことができるようになりました。このことにまず感謝したいと感じさせてくれるアルバムでした。

何と言っても興味深いのは『ピアノ五重奏曲 遺作』。うーん、ロマンティック! いいなあ、これ。作品番号なしのこの曲は旧『全集』には収録されていなかった曲です。美しいの一語に尽きます。作曲者名を伏せられたら、おそらくこの曲がヴェーベルンだと当てられる人はいないでしょう。

『オーケストラのための5つの小品』Op.10は大好きな曲。『全集』版の演奏に比べると格段にいい演奏です。無音空間に音が浮かんでいるようなイメージ。カンディンスキーの絵画のような感じです。やはりシャリシャリ音ではこの音の浮遊感覚は出しようがなかった。

このCDでは収録13曲中、9曲が歌曲。ヴェーベルンの歌曲は正直に言って苦手です。どれがどの曲か区別がつきません(笑)。ホント、覚えられません。かろうじてわかるのは『軽やかな小舟にて逃れ出よ』Op.2。これは作品番号が若いせいもありますが、加えてタイトルが標題的であることにもよります。『nつの歌曲』という作品が4作品もあります。

ところでこのmixiのレビューと連動しているAmazonのページを見てちょっと驚きました。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000001GIU/mixi02-22/

全13曲は42トラックに分かれています。ヴェーベルンは作品がどれも短いので、この「試聴用サンプル」を聴くだけでおそらく全体の5分の4は聴けてしまうのではないかと思うぐらい、それぞれ作品の終わり直前まで収録されています。Amazonの「試聴用サンプル」はかなり聴き徳です。
 
[ 地域(どこか)へ戻る | ←← | →→ ] [ カテゴリ(おすすめ) | 地域(どこか) | 登録日(2007/05) ]
[ ホーム| ]
前川道博ホームへジャンプ