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ラジオから生まれた歌

カテゴリ: おすすめレビュー 地域: どこか
(登録日: 2006/06/17 更新日: 2024/03/11)


2001
カメラータ東京
藍川由美, 岡田知子, 東辰三, 明本京静, 米山正夫, 百田宗治, 古賀政男, 松坂直美, 江口夜詩, サトウ・ハチロー

この「おすすめレビュー」は、mixiの「おすすめレビュー」(CDクラシック)に投稿したものです。
 

おすすめレビュー


NHKが終戦直後から始めた「ラジオ歌謡」のセレクションです。「国民歌謡」「ラジオ歌謡」「みんなのうた」と続く、放送音楽文化の鉱脈に触れ、聞いているだけで日本大衆音楽の歴史観が培われていくかのよう。

「山小屋の灯」「白い花の咲く頃」などあまりにも有名な曲の数々はさておき、珠玉の逸品がいくつも見つかり、それだけでも興味が尽きないアルバムです。

「風はそよかぜ」(作詞/東辰三、作曲/明本京静)。軽やかに弾むような曲。ラジオ歌謡第1号ですか。昭和21年5月放送。そういえば同じ藍川由美さんの別アルバム『「國民歌謡〜われらのうた〜國民合唱」を歌う』に収録された「心のふるさと」(昭和11年)のように、第1号の曲は後続の展開を予感させるものがあります。戦争に突き進んだ「国民歌謡」は当初の理想にもかかわらず国民的な不幸の記憶と重なっていきました。それに比べ「ラジオ歌謡」は平和の時代の所産だという至福が感じられるのは、まさにその先代に「国民歌謡」があったから…とも言えます。「国民歌謡」と「ラジオ歌謡」はその点が好対照。やはり平和の時代がいいと実感。

「やすらいの歌」(作詞/百田宗治、作曲/古賀正男)。古賀メロディーとは思えない、清楚さが印象的な曲。古賀メロディー観が変わりました。

何度も聞くうち、私の心に棲み始めた曲が「麦踏みながら」(作詞/関根利根雄、作曲/玉利明)。どうしてこの曲がこんなに心を惹きつけるのか不思議でなりません。「麦踏み」というものに子ども時代の郷愁があるのは確か。

「あまんじゃくの歌」(作詞/深尾須磨子、作曲/高木東六)も逸品。うん、これもいい。ポルカですか。粋ですね。

「ぞうさん」(作詞/まど・みちお、作曲/團伊玖磨)。数あるラジオ歌謡の中でもおそらく最高の一曲がこの曲と確信をしています。知らない人のない歌。誰もが口から出てくるぐらいに愛されている歌。團さんの作品は数々あれどこの一曲で永遠に歌い継がれる国民的愛唱歌。作曲家冥利に尽きるものでしょう。
 
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