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モーツァルト:歌劇《フィガロの結婚》

カテゴリ: おすすめレビュー 地域: どこか
(登録日: 2005/12/23 更新日: 2024/04/02)


2005
ベーム(カール), フィッシャー=ディースカウ(ディートリヒ), テ・カナワ(キリ), フレーニ(ミレッラ), プライ(ヘルマン), ウィーン国立歌劇場合唱団

この「おすすめレビュー」は、mixiの「おすすめレビュー」(DVD)に投稿したものです。
 

おすすめレビュー


これは懐かしい! このDVDを見たわけではありませんが、ジャン=ピエール・ポネル演出のオペラ映画。1979年か1980年の正月、NHKで放送された時に見ました。そのDVD版ですから中身は全く同じ。これは何としてももう一度見たいと思っていました。

数あるオペラの中でも、どれが一番いい? と聞かれたら、間違いなく「フィガロの結婚」を選びますよ。ヴァーグナーがいくら大好きとはいっても、究極の選択はこれです。ヴァーグナーじゃなくてモーツァルト。それも「フィガロ」。ヒューマニズムと音楽の楽しさが一体になって、生きていることの喜びを実感できる音楽、といったらほめ過ぎでしょうか。

ポネルの手腕を実感したのもこの映画。舞台のライブがよい、という人もいますが、映画用に演出されたものもいいですよ。ベルイマン演出の「魔笛」は実に楽しかった! ジョセフ・ロージー演出の「ドン・ジョヴァンニ」というのもありました。いずれもよかった。モンテヴェルディの「オルフェオ」「ポッペアの戴冠」もポネル演出。あれだけ虚飾のないモンテベルディのオペラを退屈させず、まともに見れるのはまさに演出の力です。「フィガロ」はそれ以上にいい。

一番の見せ場は何と言っても第2幕のフィナーレ。フィガロ側(フィガロ、スザンナ、伯爵夫人)とアルマヴィーバ伯爵側(伯爵、マルチェリーナ、他に2人)のかけひきの妙味。両者の形勢が逆転を繰り返しながら、最後には伯爵が助っ人を連れてきて、フィガロ側の形勢不利で終わるのが第2幕。最大7重唱になるんでしょうか。次々に変わる局面が映像の切り替えしで実に巧みに刻まれていきます。少なくともライブでこういう面白さを演出することは不可能なわけで、映画用に演出すればこそ。ただ映画用に演出したから素晴らしくなることが保障されているわけでは全くありません。ポネル、スゴイな、と思わせたのが第2幕フィナーレです。

フィガロと言えばヘルマン・プライというぐらいフィガロ=プライ。1980年のウィーン国立歌劇場の日本公演の時もフィガロはプライでした。実によかった。スザンナのミレッラ・フレーニも悪くない。好みとしては、日本公演の時のルチア・ポップの方がいいかな? 伯爵がフィッシャー=ディースカウ、伯爵夫人がキリ・テ・カナワ。これ以上の組み合わせはない、というぐらい配役に恵まれているのもこのポネル版の素晴らしさです。

カール・ベームの指揮も今となってはもう至宝になるでしょう。演出・配役・指揮・演奏共に品質保証で最高ではないでしょうか。もう一度何としても見てみたい極上の「フィガロ」です。

満足度★★★★★
 
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