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ワーグナー:ニーベルングの指環

カテゴリ: おすすめレビュー 地域: どこか
(登録日: 2005/10/15 更新日: 2024/04/02)


1994
ユニバーサルクラシック
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団, ワーグナー, ショルティ(サー・ゲオルク)

この「おすすめレビュー」は、mixiの「おすすめレビュー」に投稿したものです。
 

おすすめレビュー


このショルティ盤は、歴史的な名盤と言われています。スタジオ録音ですからね。完璧を期したのでしょう。演奏が単純過ぎる感じがしないでもないですが、力があります。ショルティの指揮はこういう朴訥さが魅力。歌い手の顔ぶれ。何と言ってもこれはスゴイ。他のレコーディングは決定的に歌手陣の層の薄さが打撃です。この名盤に太刀打ちできるものがない!

ブーレーズのバイロイトライブ盤は悪くないのですが、「ジークフリート」で聴く意欲が喪失しました。ジークフリートのキャスティングがどうにかならなかったものか。「ワルキューレ」がよかっただけに、「ジークフリート」でどひゃっと下がってしまった。やはりショルティが1960年代に実現した豪華な顔ぶれの水準を超えることは、実現不可能なのかと悟らされました。

このショルティ盤では、メラメラ、バキッ!という効果音を臆面もなく出してきます。「ラインの黄金」でワルハラ城に虹の橋を架ける場面。いかにもスタジオ録音で、音を合成しました、という感じ。こういうのも、この盤の魅力なのだなぁと感じます。炎の神ローゲが登場してピッコロの音でころころ炎を描写するところは大好き。「神々の黄昏」のグルーミーな感じも実にいい。そして「神々」第3幕の大団円。ジークフリートの葬送行進から最後までの持続に身を浸れることの快感。ブリュンヒルデの長いモノローグは指環の中で最も美しい。デカダンスだなぁ。一番の山場です。こうやって世界は滅び浄められるのか。この場面も歌手の力量に負うところが実に大きい。ブリュンヒルデを歌うビルギット・ニルソンの歌唱力の凄み。音楽はパトスの芸術であると殊更ながらに言いたくなります。

全4作を通じては「ジークフリート」をどう乗り切れるかが名盤となれるかどうかの運命の分かれ目か。4部作の中で一番渋い作品。ショルティ盤は全く飽きさせなかった。歌手の力量を問われている作品だからでしょう。

いつだったかNHKでこのレコーディングの「メイキングオブ」をやっていました。これは面白かった。ブリュンヒルデの愛馬グローネがスタジオに入り込んできた。面白い演出でした。「メイキングオブ」が存在していること自体、このレコーディングが歴史的大事業だったことの証です。

満足度★★★★★
 
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