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たこあしニュース

冬期湛水水田と生物多様性の国際シンポジウムが開催されました

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(月別インデックス: 2002/02/25 更新日: 2004/01/29)


2002/02/23 冬期湛水水田に飛来したオオハクチョウ



宮城県田尻町で,冬季湛水水田をテーマとしたシンポジウムが開催されました。

冬期湛水水田とは,冬の間乾いている田んぼに水を入れて,水鳥の休息・採食環境となる湿地ビオトープを創出することをいいます。冬期湛水水田を応用することで,蕪栗沼などに一極集中しているガン類の越冬地を分散化することができると期待されています。また,水鳥の糞が残されることによる施肥効果や,水鳥が水田雑草の種子を採食することによる春雑草の抑草効果など農業面でのメリットも期待されています。

今回のシンポジウムでは,韓国の鳥類研究者を招聘して,韓国での冬期湛水水田の取り組みについてもご紹介いただきました。

23日は,午後に田尻町内の冬期湛水水田を視察し,オオハクチョウが飛来しているところを観察しました(写真上)。

夕方からは,基調講演が行われました。演題は次の二つでした。

(1)米国の冬期湛水水田インセンテイブプログラムについて
日本雁を保護する会会長 呉地正行氏

(2)韓国に於ける冬期湛水水田と生物多様性
韓国湿地水鳥連盟 ニール・ムーア氏

(1)は米国で取り組まれている冬期湛水水田プログラムで,当初このプログラムの責任者である米国魚類野生生物局 デール・ガリソン氏を招聘してお話をいただく予定でしたが,結局連絡をとることができず,代わりに雁を保護する会会長の呉地氏がこのプログラムについて紹介しました。

(2)は韓国で実施されている冬期湛水水田について,ムーア氏が達者な日本語でご紹介下さいました。韓国では,冬期湛水水田が生物多様性を保全するという水田の多面的機能として認定され,湛水水田を実施する農家に対して国が機能評価額を直接支払いする制度が行われていることが紹介されました。
 


2002/02/24 講演するハンス・リー氏



24日は,シンポジウム形式で冬期湛水水田の取り組み紹介と今後の展開の課題について議論が行われました。講演をいただいた方は次のとおりです。

ハンスー・リー氏(韓国;エコテク環境生態学研究所)
岩澤信夫氏(日本不耕起栽培普及会会長)
相馬喜久男氏(秋田大潟村相馬農場)
岩渕成紀氏(日本雁を保護する会・仙台市科学館)
稲葉光圀氏(民間稲作研究所)
宮元 均氏(農水省農村振興局土地改良企画課)
鳥居敏男氏(環境省自然環境局野生生物課)
金尾健司氏(国土交通省河川局河川環境課)

ハンスー・リー氏は,韓国で発生した鳥コレラによる1万羽以上のトモエガモなど水鳥が死亡した事故を受けて,水鳥の生息地を分散化するために冬期湛水水田の取り組みが始まったことを紹介しました。

岩澤氏,相馬氏,稲葉氏は農家の立場から,特に水稲の不耕起栽培と冬期湛水水田の組み合わせ,自然の力を 活かした稲作と生物多様性の保全の両立を図る上でとても有効であることを紹介しました。

宮元氏,鳥居氏,金尾氏は行政の立場から,冬期湛水水田に関連することをお話しいただきました。鳥居氏は,見直しが行われている生物多様性国家戦略(案)の中に冬期湛水水田の取り組みが盛り込まれていることを紹介しました。金尾氏は,冬期湛水水田に必要な水源確保に関連して,国土交通省で「環境用水」(環境保全を目的として 河川水を利用すること)の実現に向けた検討が行われていることを紹介しました。

最後に,参加者から冬期湛水水田に関する意見を募り,それを冬期湛水水田の普及に向けた宣言としてまとめました。

このシンポジウムをきっかけとして,水鳥をはじめとする生物と稲作との共存を目指す冬期湛水水田の取り組みが,全国に広がっていくことを期待しています。
 

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