8月20日に岩手大学で開催された水文・水資源学会のワークショップ『流域圏で市民とともに水を考える』で,蕪栗沼の事例報告を行いました(香川が参加)。 このワークショップの趣旨は,水文・水資源に関する実務者と市民,技術者,研究者等との連携を模索するものです。蕪栗沼の事例は,遊水地事業という地域のいろいろな主体(利害関係者)が絡む現場で,どのように合意形成が進められたのかに,大きな関心が集まりました。 蕪栗沼のほか, ▼国土交通省東北地方整備局の馬場さんが『仙台地域での水循環の再構築』について, ▼岩手県室根村役場の千葉さんが『森は海の恋人運動(おいしい牡蠣(カキ)などを栽培するために森に木を植えています,というあの有名なお話)』について, ▼岩手大学農学部の三輪さんが『北上川流域における水利の開発と調整』についてお話しました。 私はこの中でも,三輪さんの講演に大変興味を持ちました。というのは,蕪栗沼が自然遊水池になっているのは,実は人為的な要因が大きいというお話を聞いたからです。江戸時代の北上川河川改修事業の中でも,港町である石巻を守るのが最大の課題でした。江戸時代の人は,元々石巻湾にそそいでいた北上川を,東に流路を掘って太平洋に直接流下させるとともに,元々の北上川(今の旧北上川)と迫川,江合川の合流点付近に「人為的に」流れの狭いところをつくったそうです。大雨のときは,この狭いところより上流側(つまり蕪栗沼や伊豆沼一帯)で水をあふれさせ遊水地とし,下流の石巻を洪水から守ったということでした。航空写真もない時代に,良くぞそこまで考えたな,というのが率直な感想で,非常に勉強になりました。 発表の機会を提供していただいた,関係者の皆様に感謝申し上げます。
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